6月29日(土)に開催された「foriio Creators meet up vol.3 in Osaka」。SNSで話題の上司ニシグチさん、サタケシュンスケさんのお二人をお迎えし、盛況のうちに終了したイベントのレポート後編です。

 前編:https://blog.foriio.com/foriio-creators-meet-up-vol-3-in-osaka/   

仕事の依頼はどこから来ることが多い?

上司ニシグチ(以下、ニシグチ):このテーマ、サタケさんはどんな感じですか?僕は会社員ですけど、サタケさんはフリーランスですから、いろんな所からくると思うんです。

サタケシュンスケ(以下、サタケ):これもまた駆け出しの頃と今とではだいぶ違うんですけど、今の話をすると、ほとんどはウェブサイトからの依頼です。ウェブサイトにたどり着くまでにnoteやTwitter、Instagramとかを経由されてるかもしれませんけど、ほとんどはウェブサイトを見て「サイトの中のこの絵みたいに描いてほしい」という内容が一番多いんです。

全国の方から来ますが、関西の方は割とそうではなくて、圧倒的に紹介ですね。地元の神戸とか大阪とかの人は人づての依頼で、逆に僕のウェブサイトとか見てない人が多い。「一緒にやってよかったというデザイナーがいるからお願いしたい」となって、後で作品見みせるっていうパターンも結構あって。聞いたら、関西だと「イラストレーターに仕事をお願いした事がないから、お願いの仕方もよく分からない」という方もいらっしゃるみたいです。新しい人をどう探していいか分からないようで、その辺は割とウェブを使う温度差が首都圏とはある気がしますね。おそらく、売り込み自体も首都圏と関西とで違いますよね。だからもったいないなと思って。関西にも良いデザイナーさんやイラストレーターさんが沢山いるのに、全然マッチングが出来ていない。お互い近くにいるのに、知らないだけで仕事になっていないということは普段から感じるので、これはやるべきだなあと。

ニシグチ:割合的にはどんな感じなんですか?ウェブと知り合いづての依頼とで。

サタケ:ウェブサイト経由が9割ですね。出版の仕事が多いから、クライアントさん自体も東京に集中しているんですよね。だから、もしこっち(関西)の仕事だけしていたら全然食べられてないんですよ、1割だから。

東京の人は全国のイラストレーターさんとかにも、仕事を依頼することに慣れているので、躊躇なく沖縄のイラストレーターでも北海道のイラストレーターでも発注するけど、紹介で回ってるような関西のデザイナーさんとかは、「会えないのに仕事を頼んで大丈夫なの?」って思っている事もある。逆に会えたらしめたもので、仕事になることも多い。

ニシグチ:驚きですね、そんなにウェブサイトからの仕事が多いとは思っていなかったです。

サタケ:だいぶ変わりましたけどね、10年前と。今は多分ウェブサイトがないと厳しいですよね。SNSだけだと、例えばTwitterなんて作品がどんどん流れていってしまいますし、そこで作品探してくれっていうのも難しいので。

ニシグチ:TwitterのDMから依頼が来ることはないんですか?

サタケ:来たことないですね。特例として、BehanceというAdobeがやってるクリエイターSNS、あれだけは仕事が来ます。海外の仕事はほぼほぼそこからです。Behanceを見て、直接メッセージやダイレクトメールが来たりとかは結構あります。あとはnote経由かな。作品はそんなにあげてないですけど、noteで僕の存在を知ってくれる人が増えたので。今までTwitterとかfacebookとか、絵を発信するところでは絵に興味ある人しか見ないと思いますけど、イラストレーター・サタケシュンスケという人がおるんやな、という事を今まで知らなかったライターさんとか、会社員の方とかが知って、そこから新たな開拓が出来そうな場所だなあという感覚はありますね。

ニシグチ:noteいいですよね。カレーの店まとめただけで見てもらえましたもん。あんなもう、コピペしただけのやつが(笑)。

サタケ:必ずしも仕事に直結しなくても楽しんで出来ますしね。色んな人が見に来てくれるじゃないですか。それこそカレーの仕事の人とか。

ニシグチ:カレーの仕事来たらいいんですけど、まだ来てないんですよね(笑)。

サタケ:意外と打ち合わせにいったら「あれ書いてましたよね」みたいな話になったり、けっこう皆さん読んでくれてるんですよね。だから日頃からの発信が大事だなと。

ニシグチ:サタケさんと会ったのも、サタケさんのポートフォリオについてのnoteで。当時フォローはしていたんですけどそんなにやりとりはなくて。それでポートフォリオの記事を読んで、リプライか何かがあって、あっという間に「じゃあごはん食べ行きましょう」という話になって。

サタケ:そう意味では、山田さんとつながったのも、山田さんがforiioについて書いたnoteに僕がコメントで「使ってみて、もっとここがこうだったらいいと思いました!」みたいな事を書いたら連絡をくれたのが始まり。それがこの場に繋がっているので、絡んでいく事で繋がっていくんですよね。

ニシグチ:最近いろいろな所で聞くんですけど、1つこれだけやっていればいいというものは無くて、結構バラバラ。住人も、見てる人も違うので、響く所も全然違いますよね。僕もアイデアポストの時にInstagramにあげたらわーっと見られたのに、Twiietにあげたら全然で(笑)。やっぱり見てる方が違うんですよね。

サタケ:ファンがつくような作品を作っている方は、むしろInstagramだけで全然いい。しゃべらなくて良い、みたいな人もいますし。ホームページは僕はあった方がいいと思いますけどね、信用になりますからね。

ニシグチ:僕は名刺の依頼、全部TwitterのDMからですね。

サタケ:あれも拡散されているのはTwitterの力が大きいですし、Twitterもやっぱり使い方ですよね。僕も使いこなせている方ではないですけど、あれでだいぶ新しく知ってもらえたと思います。せっかく作った作品を、如何に色々な人に見てもらうかという事をTwitterでやっている感じ。ベースには作品があって、作品が見れる場所があるという。

ニシグチ:いろいろやった方がいい、という感じでしょうね。

サタケ:新しいサービスにはとりあえず飛びついた方がいいかもしれません。noteは新しくはなかったですけど、foriioさんは出来たばかりの頃だったし、この時だからこそ声が届くということもある。先行者利益じゃないですけど、ある程度流行った後で後乗りしてもあんまりなんですよ。Instagramとか、僕はあんまり実感できなかった。とりあえずやってみて、合わなかったら辞めたらいいんです。

SNSを続けていくためにはどうしたら良い?

山田寛仁(以下、山田):個人的に気になっていることなんですけど、SNSがぽんと上がり始めた頃があると思うんです。お二人はそこから勢いが落ちていないと思うんですけど、SNSの発信力というか、勢いを落とさないために気をつけていることってありますか?

ニシグチ:僕はfacebookもほぼやっていない、Instagramもやってない、Twitterしかやってない、あとnoteはちょこちょこやってます、という状態。皆、運用した方が良いとは思っていると思うんですけど、継続させるのが難しいと思うんですよね。僕自身が気をつけているのは、そもそも名前ももう本名は言っていなくて、「上司ニシグチ」っていうキャラクター設定を置いてます。「どうやったらこの人が思ってるように見えるのかな」っていう観点でしかやってなくて、そこにクソリプが来てももう何も思わないんですよ(笑)。勝手に言っといたら?って感じでDMも全部無視してますし、別にもう自分とイコールでは無いという感覚でやってるので、別にしんどくないっていう。「上司ニシグチ」という人がいて、「この人なんか偉そうに言ってるから、どうやったらもっと偉そうに見えるかな?」って感覚でツイートしているので、もう僕自身じゃない。思ってることは似てますけど、それを変換させてそれっぽく見せて、こんな感じで離れて見ているのでイコールじゃない。だから僕、話してみたら意外に優しいって言われます(笑)。Twitterで見てると割とキツめに感じますけど、上司キャラを演じてるだけなんで(笑)。なので、力を入れてやってる人もいますけど、なんか軽い感じでいいじゃないかなと。僕はポジション的にうまい事計算してやったので、上手いポジションとってそれに沿った発信をしているとあとは気楽。自分とイコールにしちゃうと疲れちゃうんですよね、なんか言われたら傷つくし。

サタケ:結構見かけるんですよね、もうTwitterしんどいんで離れますとか。それって自分とイコールにしすぎてたからなのかも。僕もTwitterではある程度縛りを設けてます。イラストに関する事を中心にして、それ以上のことはあまり言ってないですね。たまにクッションとしてしょうもない事も言ってますけど、noteはこういう事、Instagramはこういう事と、もうはっきり分けてます。

ニシグチ:ラジコンやってる感じですよ、僕(笑)。自分が乗ってというよりは、ラジコンを動かしている感じ。「こうやって言ったら、人はどう動くのかな?」っていうテストマーケティングのような感じです。すみませんね、ちゃんとした人間なんですけど(笑)。そうやってちょっとビジネス寄りに考えています。

最初の打ち合わせで見せるべきもの、話すべきこと

ニシグチ:最初の打ち合わせで見せるべきもの、話すべきこと、結構大事ですよね。イラストのテイストをどう伝えるか、求めてるものをどう伝えるかって結構依頼する側としては大事だと思っていて、今やっている手法があるのでお伝えしておきたいなと。それは、「過去」「現在」「未来」とフェーズ分けをしていて、まず過去はPinterest で探して「こんな感じで」って言っています。Pinterestには結構過去の情報が蓄積されているので。「現在」は、dマガジンっていう雑誌をぱぱっとみれる月400円のdocomoのサービスがあって、それだと要は今のイラストの状況が分かるんですよ。しかも自分が好きじゃないものまで見れるんで、今現在どういうイラストの状態になっているのか、流行り廃りを見ています。「未来」はメディアの情報とかリアルな口コミで探って、その3本軸で僕はイラストのストックを見ている感じです。これ結構おすすめです。Pinterestは皆さんいいデザインのやつが載ってるって感じで見ていると思うんですけど、dマガジンを結構推してます。

サタケ:メディアには結構目を通すんですか?

ニシグチ:通しますね。それはイラストもデザインもそうですけど、自分の好きな雑誌とかは買うじゃないですか。そうすると情報を選んで買ってしまっているんですよね。dマガジンみたいに月額固定のサービスで、自分は全然しないですけど釣りの雑誌を見て魚がどう描かれているのかを把握したり、全然やりませんけどゴルフとかバイクとか、めっちゃあるんですよ。女性誌もみてますね。表紙がばっと並ぶんですよ、そうすると使っている色の傾向とかが分かるし、謳ってるキャッチとかもそこから抜き出したりして。dマガジンで「これは!」と思ったらスクショに撮って、それが蓄積されているんです。それを「今こういう感じで、流行ってるっぽいです」と見せる。それがデザイナーとしての説得力に繋がるというか。

サタケ:日頃の情報収集の力があるから出てくるものですよね。

ニシグチ:Pinterestでもある種ストックはしているので、見せる時にイラストレーターさんも分かりやすいと思うんですよね、こういうテイストで、こういう線で描いて欲しいとかが分かるじゃないですか。Pinterestとかdマガジンはそういう風に使ってます。

サタケ:頼まれる側からすると、「何のために作るのか?」という所が分かると、確かに勘違いも生まれないし良いですよね。

ニシグチ:コミュニケーションの部分だと思うんですよね。もし伝え方を間違ってちゃんとしたものがあがってこなかったら、こっちも困るんで。絵だけじゃなくて、どう使われるのかとかも大事ですよね。大きく使うのか小さく使うのかでも、もちろん変わってくるので。初めの段階でかなり細かく言った方が良いものがあがってくるので、そのあたりは気を付けている部分ではありますね。

サタケ:その逆で「お任せで」っていう場合。信頼してくれているのかもしれないけれど、「サタケさんの好きに描いて頂いて…」っていうのが僕一番困っちゃうんですよ。わからないですもん、その人の思ってる「良い」が何なのか。本当に心からそう言ってくれているのかもしれないですけど、でもやっぱり外れることも多いんで。もしくは、ニシグチさんみたいに出せる資料とか出せるものが無いから、「とりあえず描いてもらってそこで判断します」みたいな人もいるんですけど、めっちゃ困ります。ちゃんと言葉にして形にしてもらうと、描く方としては分かりやすい。

ニシグチ:依頼する側もある程度リテラシーが必要だな、とここ最近思いました。実際その名刺(※注:フォトグラファ― クロカワリュートさんの名刺)を作った時には、PinterestのURLを貼ってきて「僕はこのテイストが好きです」というのを事前に聞いていて。だから、クロカワさんはこういうのを好むんだろうなということが分かった上でデザイン出しているので、ちゃんとはまった。クロカワさんも多分そこを分かった上で言ってきているんだろうなとは思いますね。伝える側もちゃんと伝えたら、良いものが出来るなと感じます。丸投げはね、デザインもそうですけどキツイですよね(笑)。

サタケ:良かれと思って言ってくれてるんだったら、もうちょっと僕はツッコミますね。せめて、自分の作品のどれを見て良いと思ってくれたのかを聞いてみるとか。それはしょっちゅう聞きます。ビジュアル的な内容がまったく見えない依頼に関しては、例えば自分のウェブサイトの中から選ぶのであればどれですか?これですか?っていう感じで何個かあげてみたりして。やっぱり最初にコミュニケーションを密にしておくことですね。

ニシグチ:だいたい候補は3つぐらいが良いですよね。10個とか送ると逆にややこしくなる。

サタケ:あれもこれもというよりも、「これが良さそうですよね」というのをこちらから提案する感じです。多すぎても選べなくて、余計に悩んでしまいますしね。

仕事をもらう側からすると、割とデザイナーの方に提案力って偏りがちじゃないですか。こういうのが欲しいんですって、仕事をもらう側は受け身なわけですよね。基本的には言われたことをやれればそれで良いんでしょうけど、こちらからの提案、例えばそれを分かった上で「こういう見せ方もないですか?」という話をこちらからするのはどう思いますか?

ニシグチ:それは嬉しいですね!依頼される側としては、いろんな可能性を見せてもらった方が助かりますしね。

実際のサタケさんの提案例を拝見!

サタケ:これ前にTwitterにもあげたことあるんですけど、僕が仕事をもらって最初に出したラフです。クリスマスのお仕事だったんですけど、クリスマスツリーを描いて、そこに動物を混ぜてもらって、それでメインビジュアルを作りたいという依頼だったんです。要は、パンフレットの表紙の絵を描いてくださいって言われた時のです。その時、ー枚絵で考えても良かったんですけど、ちょっと色々出来そうなので提案してみようかなと思って提案したのがこれです。まず、ツリーのパターンを10個ぐらい用意して、ちょっとした飾りを用意して、それをどう組み合わせて使うかを次のページから提案したんですね。

サタケさんが披露したクリスマスツリーのラフ提案資料

ニシグチ:素晴らしい!これはもう、デザイナーからしたら最高に嬉しいですよ。

サタケ:商業施設のためのビジュアルだったんですけど、パーツを分けて、例えば立体物にしたら、店舗の中に置物をつくって置くことも出来ますし、ツリーを横並びにして檻としても使えますと、そういう提案をしました。この辺りはまあ普通のお仕事でもやるんですけど、緑のパターンと赤のパターンとを提案して。ここまでは頼まれてないけど、やってみたんですよ。ほんとだったら表紙だけで良かったんですけど、「いやいや、ここまで作ったらこういう事出来ますよ」と。クライアントさん的にも「そうか、一つ頼んだだけでこんなに展開できるんだ!」という感じで。

ニシグチ:絶対にそう思いますよね。サタケさんはデザイナーとしてもやっていたので、そういう所も気づくんですよね。

サタケ:プラスアルファで提案したいんですよね。でも最初にツリーと動物を描いただけで、労力は全然かかってない。あまり絵に時間をかけすぎてもいけないので、簡単に出来る範囲の調整で。だからこれ、お仕事の効率としては凄く良かったんですよ。実質手を動かしている時間は少ないけど、提案力だけでこれだけ広げられたという事例です。

ニシグチ:上手くいったパターンですよね、これは凄い。デザインを頼む側としても有難いですよね。

サタケ:表紙と中面、全部バラバラに作っていったら結構な労力がかかりますけど、組み合わせで描けたのはクライアントさんとしても喜んでもらえました。短時間で出来るし、見せ方を広げられるということに気づいてもらえた。どう組み合わせるかをクライアントさんも楽しんでくれたので、そこはお任せしました。提案はするけど、あとの使い方はお任せという感じで。全部の仕事がこうではないですけど、こういう事が出来て、最初の段階で話ができるとめっちゃ盛り上がるんで。

ニシグチ:予想外に追加で仕事が来たりしてね(笑)。

サタケ:じゃあこれも追加で使わせてもらうんで追加予算で、みたいな。

ニシグチ:見た事ないですけどね僕。イラストレーターさんでここまでする人。

サタケ:ほんとですか?結構、上手い人は提案までやってる感じです。ただ、デザイナーさんの領域に入りすぎると嫌がられてしまうということもあるので、「こういう見せ方もあります、素材として使ったらこうなります」という提案の仕方ですかね。

ニシグチ:確かにここでがっつりデザインやられたら、出る幕無しみたいな(笑)。

サタケ:例えば表紙の仕事をもらって、タイトルまで自分でやってしまうイラストレーターさんもいらっしゃるんですけど、デザイナーさんからすると嫌だと思うんですよね。「それは自分で考えるから!」って。有難迷惑になってしまう部分はありますよね。そこまではしなくていい。嫌と思われると逆効果なんで。

ニシグチ:こんな感じで展開出来ますよという例を見せてあげる感じですね。

サタケ:コミュニケーションの中で提案をしてもらうっていうのは、双方にあってもいいのかなと。そのキャッチボールがうまくいくと、お互いが思っているより良いものが出来る。

提案の仕方の匙加減、どうするのが良い?

山田:さきほどの境界線の話って、恐らくサタケさんはデザイナーのバックグラウンドがあるからその匙加減が上手かったと思うんですけど、そういう提案の仕方の程度ってどう考えていたんですか?

サタケ:ここからはデザイナーの仕事、ここからはイラストレーターの仕事、の境界線がどこなのかってことですよね。

ニシグチ:さっきのはギリギリのラインで提案していたんじゃないかと思いますね。僕でもそこまでがちょうどいいかな。それ以上来た時には「それはこちらがやることなんで」って、デザイナーとしてのプライド的な部分に切り込んでくる感じになる気がするので。

サタケ:なんでもやりすぎるのは良くないですね。絵の切り方、例えば1つ絵を描いて、「これをこの部分に使います」と話す時に、「あえてここで切るんです」みたいな言い方とか。デザイナーさんが結構こだわる部分なのに、「文字がここに入るから、絵はここで切らせてもらって…」みたいな所までやってしまうと、それはもう「ここに文字を入れてください」っていう誘導ですよねと(苦笑)。それは良くないので、僕はあくまでも全体図を描いてもらって、どこで切っても良いような状態でしか渡しません。

ニシグチ:イメージ出来てるかもしれないですけどね、自分の中では。

サタケ:こうしてほしいというこちら側の願望が伝わってしまうのは、ちょっとやりすぎになってるかな。

ニシグチ:「選んでください」ぐらいの感じ。こういう事できますよ、みたいな。

サタケ:パターンを出すのは良いと思うんですけどね。でも僕は雑誌のページに何点か挿絵が必要でそのラフを出す時とかは、デザイン上にイラストを仮で当てはめて見せるようにしてますね。イラスト単体で見せるんじゃなくて、デザインに組み込んだ状態で提出すると、クライアントさんもチェックが早くなる。そこは手間はかかるかもしれませんけど、一旦全部こちらでやってみて、ですね。

ニシグチ:その手間をかけられるかどうかがポイントだろうと思いますね。

サタケ:クライアントさんがどこまでスムーズに仕事を進められるかを考えて、先回りして進めるのが大事だと思いますね。あと、例えば絵の角度に対して、最初に出したものとちょっとだけ角度を変えたものが見てみたいと言われた場合、分かりましたと言って角度を変えたものを一つだけ渡すんじゃなくて、先に3パターンとか用意しておいて「好きなやつ使ってください」という感じにして、出来るだけやりとり回数を減らすとか。言われてやるのは当たり前ですけど、言われたら先回りしておく。もしかしたら「もうちょっと」って言われる可能性あるなと思ったら、そのパターンも用意しておくと。

ニシグチ:だいたいそういう場合、それで1パターンもらって上の人に見せたら「他のも見てみたい」ってなるんで、「やかましいわ!」って(笑)。でも3つあって「どれにしますか?」だったら選ぶわけですからね。ちょっと時間かかるかもしれませんけど、トータルでみたら全然圧縮されますからね。

サタケ:そういうのはコミュニケーションの中でちょこちょこ挟んでいますね。

ニシグチ:デザインをやってたっていうのがポイントかもしれませんね。そこまでなかなか分かって頂けない事、結構あると思っていて。デザインをやっていたからその先がちょっと見えてる、きっとこういう事が起こるだろうという事が見えているのは強いですよね。

サタケ:でもこれも聞いたら分かる事じゃないですか。なので、今日から実践して頂いて。仕事だとやっぱり、如何に相手の手間を減らすことに貢献できるかとか、そういう部分が優先順位として高くなるので気にしています。

ニシグチさんに聞きたかったのが、レスポンスの速さって速いのが喜ばれるのは分かるんですけど、大切なのは「速さ」「クオリティ」「関係性」のどれなのか?ということ。仕事を頂いてラフをアップする時に、ささっとでも良いから早く見たいのか、それとも結構作りこんだラフを時間かかってもいいので欲しいのかとか。それこそ、先ほどの本の中でいろいろなイラストレーターさんに仕事を依頼して、ばばっと戻ってきたりすると思うんですけど、どういうのが分かりやすいんですかね。

ニシグチ:僕ら4人の目的は本を完成させる事で、僕たちはそれをまとめ上げる役目なので、やっぱりすぐに返事をくれる人の方が有難い、というのは大前提としてあるじゃないですか。実際に、すぐにぱぱっとあげてきた人が中には何名かいて。あの本は結局、同じ期間、同じテンプレートで、同じ書類を渡してヨーイドン、というのを23人でレースしたイメージなんですね。その23人に対して、「この期限までに出してください」という期間が2週間ぐらいあって、その間にどう進めてくるかっていうのはそれぞれ違っていたんですね。その中にすぐにばっと出してくれた人がいて。彼がその後どうなったかというと、この本を監修してくれた人が出された別の本のイラストの仕事が来ています。それが全てではないと思いますが、やっぱり積極的にやっていたという印象が残っていて、形になっていましたね。やっぱり早い人が圧倒的に優位ですね。「やりますか?」って言って「はい!」って一番に言った人が、やっぱり勝ってる。

サタケ:すぐに手をあげる人はどんな所でも強いですよね。ちなみに、いくら期限を守っていても、期日ギリギリまで待たせて提出すると期待値のハードルもあがりませんか?待たせたら待たせるほど、さぞかし良いものを出してくるんだろうと思われていると思うので、あまり待たせない。待たせると自分を首を締めちゃうんで。軽くでもさっと出して、一回チェックする。

ニシグチ:だいたい「これでいいですか?」っていうのは、線描きでぎりぎりわかる範囲の時に送ってきてくれますよね。

サタケ:方向性とか構図とか、あとで動かしづらいとこだけ先にチェックしてもらって。

ニシグチ:そのやり方が絶対ベストですよね。どうしても100%で見せないと、という気持ちもわかるんですけど、まずは「ここからどうしていこうか?」という所で出す。特に色なんか1色でいいかもしれない。イラストでいえば構図、アウトラインぐらいが分かったら良いですよね。何も進捗無しで「これです!」って出してきて「ちゃうやんけ!」って文句言った事ありましたけどね。「見せへんからやん!」て(笑)。こちらもチェックさせてくださいねと、言わないといけなかったんですけどね。

サタケ:あとは早いと単純に感動しますよね。めちゃくちゃ早くレスポンスがあると、その印象て残りますよね。変に時間かけるよりも、簡単に評価につながるというか。

ニシグチ:僕もそれに気づいたのは結構遅いんですけど、その「スピードで結果が変わる」という事が分かりだしてからは、意識するようにしていますね。

サタケ:ひとつの感動体験を与えるというか。僕もそういうつもりで結構早く出す事もあるんですけど、期日の何日も前にさっと出すとさっと返事が返って来る事もあって。それはそれで嬉しいんですけど「せっかく手を離れたと思ったらもう戻ってきた」ってなったりして(笑)。それはそれでちょっと間をおくというか、「ちょっと休ませて!めっちゃ頑張ったから!」みたいなことはある(笑)。でも早ければ後で何とでもなるんでね。

僕仕事が何件か重なっていたら、下書きのメールをセットしておいて、良い時にぱっぱっぱっと送っていきますね。ずっと前に作業は終えていて、あとは送るだけの状態にしておいて、タイミングをみながらメールを送っていく。その方が、自分でコントロールしやすいですね。

ニシグチ:確かに、出来てもすぐには送らない事が多いですね僕も。

サタケ:速さに甘えてくるクライアントさんがいたら、その人にはぎりぎりに出したり(笑)。早いと、次の依頼の時にもっと短納期で依頼されたりするんで、コントロールしないといけない。納期1週間のところを3日であげてくると、もう3日で出来るものと思って、次3日でと言ってくるので。そういう場合はコントロールしてますね。

ニシグチ:短納期の依頼とかどうしてるんですか?ありますか?

サタケ:ありますよ!金曜日の夕方にメールが来て、来週明け提出とか。基本的には受けないですよね、いいものが出来ないしチェックの時間もないし、その人きっと週末休むし(笑)。

ニシグチ:腹立ちますよね(笑)。

サタケ:ムカムカしてたら良い仕事出来ないですからね。納期伸ばしてもらう話はしますね。はなから断るんじゃなくて「もうちょっと何とかなりませんか?」と。だいたい何とかなるんですよ、クライアントさんもサバ読んでいたりしますから。でもどうにもならなかったら断りますし、そこはお金を積まれたからという事でもあんまりないかな。そもそも、そういう段取りを組んでくる人とは多分いい仕事しにくいですからね。そういう無茶な状況になるまでなんで言ってこなかった?って。せめて「この週末あけといてください」て事前に聞いていたらいいんですけどね。

ニシグチ:サバ読んでるって話ありましたけど、やっぱりこっちも何日か納期感足してますよね?仕上がりの日にちとか。

サタケ:ニシグチさんが前に呟かれてましたけど、すぐにデータ送ったのに、一週間後ぐらいにダウンロードしようとして「ダウンロードURLがリンク切れで、納品受け取れませんでした」とメールで言われたとか(笑)。クライアントさんの都合で早く!って言われたから出したのに、全然受け取ってない、みたいな。

ニシグチ:どないしてくれんねんこの土日!みたいな(笑)。

サタケ:ほんまにね、急いだのに(笑)。でもそういう事があると、本当に信頼感がなくなりますよね。サバ読むにしても、もうちょっとバレないようにして!っていう。

クライアントと繋がるイベント開催のコツ

山田:そろそろ質疑応答に移れたらなと思います。

参加者:お話有難うございました。僕自身、デザイナー活動以外にセミナーとか講演活動とかやらせてもらってるんですけど、一番困る、毎回苦労するのが集客の部分で、参加者は集まるけれど有益な仕事に繋がる参加者を集めるっていうのが難しいなと思う部分があります。僕のメインターゲットは、これから独立起業される方であったりとか、個人事業主、零細企業、中小企業などをやられている方を想定しているんですけど、そういうターゲット層、実質的に「お客さんになる人」がよくいるSNSとか、どういう所にアプローチしていくと良いかとかをお聞きしたいです。

サタケ:今日集まってくださってる皆さんも、きっとTwitterとかfacebookを使ってこれを知って来てくれるているんだと思うんです。今日来てくれているのはほぼ同業者ですが、デザイナーとイラストレーターがいて、もしかたら今日この中からマッチングが上手くいけばお互い仕事をくれるし貰える、という事が出来るかもしれないので、この後の懇親会で是非名刺交換とかして頂けると良いのかもしれないですよね。でも、やっぱりそれはゲストが2人いるからこそですよね。多分これ、僕だけとか、ニシグチさんだけとかだと、こういう集まり方はしないですよね。

ニシグチ:ちょっと見ましたけど半々ぐらいですもんね、デザイナーさんとイラストレーターさんで。

サタケ:だから1人でやろうとしないで、呼ぶゲストによってでいいのかな。今日の場合も、ちゃんとテーマを「双方から考える」ってくくっていて、それが響いてこういう感じで集まってきてくださったのかなと。だから、そういう意味では誘導が凄く良かったのかなと思います。僕ら2人が来ている意味もあるし、来てくださった方にも良い。僕もこれまでイラストレーターの方とイベントで一緒になったことはありますけど、やっぱりそこには同業者しかこないので、仕事は生まれない。登壇者のマッチングが上手くいくかですよね。

ニシグチ:お仕事に繋げようという感覚でやると、こういう感じですよね。僕はその感覚そんなになかったりするので。イベント自体は有益なこととか、経験したことを共有したいなぐらいの感じ。ここで仕事がどうこうという感覚ではないんですけど、今の話でいうとゲスト2人の距離が遠ければ遠いほどいいのかもしれない。今はけっこう近いですけど、例えば、デザイナーと食品メーカーさんの人とかだったら、マッチング的には上手くいくかもしれない。なかなか難しい部分もあるとは思いますけど。

サタケ:間に入ってくれる人がいないと難しいかもしれないですね、例えば商工会議所とかが入って「デザイナー×飲食店」みたいな形で「デザインの力で、イラストの力でもっと良くできますよ」という、なんかはあるかなと。今回だったら間にforiioさんに入って頂いていますから、そこのコネクション持ってる人に関わってもらうと一気に違う繋がりが出来ますよね。

顔出す?出さない?複業の場合の取り組み方

参加者:駆け出しのクリエイターで少しづつ売りが立ち始めたんですが、まだ会社員をしているため複業で、本名で活動出来ていません。イラストレーターさんは結構ペンネームが多くて、デザイナーさんは本名でやってる方も多いと思うんですけど、ペンネームと本名の使い分けなどについてお聞きしたいなと。

ニシグチ:僕、アイコンもイラストですし、名前も「上司」とつけているのは、同じように気にしているからなんです。ただ、今こうやって出倒してしまってるので、イラストの効果ないんですけどね(笑)。基本的にはそんなに出さない設定ではいます。別に本名じゃなくてもいいと個人的には思いますけどね。

サタケ:多いですよね、本名ではない方も。

ニシグチ:わかりやすい感じにしておいて、顔も出さないようにした方がいいと思うんです。イラストにしておいて。会社があかんと言ってもやっていいと思うんですよね、そういう時代でもないし、安倍首相も推進してますしね(笑)。抑えちゃうともったいないし、それだから出来ないというのももったいないので、やってみたらいいと思いますよ。

サタケ:開業届を出す出さないという点だけあります。出さなくても仕事はできますし、確定申告をちゃんとすれば、税務署も把握してくれるのでそれは別に問題ない。ただ青色申告したい人は、開業届を出すときに先に一緒に出しておかないと、後々その時になって青色に変えたいとなってももう遅い。そういう意味では、今後しっかり節税の事なども考えていきたいのであれば、出しておいてもいい。別に就職しながらでも出せますし、そこで会社の給料と個人の収入を分けて報告もできますので、しっかり分けて活動したいのであれば最初に開業届けを出して申告しておいた方がいいですね。

山田:有難うございました。ここでトークの方は終了したいと思います。上司ニシグチさん、サタケシュンスケさん、有難うございました。

(会場拍手)

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前編・後編の2回に渡ってお届けした「foriio Creators meet up vol.3 in Osaka クリエイターとクライアント、双方から考えるお仕事獲得術!」イベントレポートは以上になります。お楽しみ頂き有難うございました。

foriioスタッフも参加しての交流会では、様々な出会いが生まれました。